上手な質問の仕方

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はじめに

Web上にはさまざまな掲示板があり、さまざまな質問に答えてくれるものもあります。

またニュースグループなどでも質問と答えがやり取りされていたりします。

しかしこのような質問の中でも、 やり取りがスムーズにいって質問した人の求める答えがすんなり返ってくる場合もあれば、 質問そのものがまったく放置されてしまったり、 他の参加者から注意を受けたりする場合もあり、 場合によってはトラブルに発展することもよくあります。

ほんとうに何もわからない初心者の立場から見れば、 わからないことをそのまま質問しているだけなのになぜ答えてもらえないのか、 あるいはなぜ注意を受けるのか、理解できずに悩んだり腹を立てることもあるでしょう。

しかしはっきり言ってしまえば、 それらの問題の大半は質問する側の質問の仕方が「下手」 なことが原因と言っても過言ではありません。

また、質問以前に何がわかっていて何がわかっていないのかが把握できていない人もよく見受けます。

思い当たることの多い方には、ぜひ上手な質問方法を学んでいただき、 気持ちよくスムーズに知りたいことを答えてもらえるコツを身に着けることが自分自身のためにもなると思います。

このページではそうした質問のコツを解説しています。

これがみなさんの参考となり、お役に立てれば幸いです。

基本の基本

まず質問したいことを把握し、まとめる

あたりまえのことですが、これが意外とできていない質問が多いのです。

「わからない」ということが一種のパニックになり、焦りになり、 自分でもうまく言葉をまとめられないままに質問をしてしまうのでしょう。

まずひとまず気持ちを落ち着けて、自分は何を知っているのか、何を知らないのか、 何がわかれば問題が解決するのか、じっくり考えてみましょう。

紙に箇条書きしてみるのもいい方法です。

たとえば悪い例としてこういう質問を見てください。

「Windowsがよくわかりません、教えてください」

この質問がなぜだめなのでしょうか?それは「Windowsがわからない」 というのがあまりにも漠然としていて、 聞きたいことの核心が読み手に伝わらないからです。

Windowsという言葉の意味がわからないのか、Windowsの基本操作がわからないのか、 インストール方法がわからないのか、Windows上でのプログラミングの基本がわからないのか、 これでは答える側も何を答えたらいいのか推測のしようがありません。

答える側の立場に立って考える

もし自分が同じ質問をされて答える立場になったらどうか、 ということを考えて自分の質問を読み直してみましょう。

どんな人が読んでも意図が理解できるだろうか、 何を教えてほしいと言ってるのかちゃんと伝わるだろうか、 逆の立場になって考えることで自分の質問のまずい部分がわかることもあります。

たとえばこういう悪い例があります。

「○○(あるソフト名)の△△画面のように表示させるにはどうしたらいいでしょうか」

この質問のまずい部分は、 質問者が使っている特定のソフトをだれもが使っているとは限らないことです。 答える側から見れば、人によっては「○○ってなに?」ということになります。

答える側の立場に立って考えるためには、自分がそれなりによく理解していること、 よく知っていることに関して同じように質問された場合を考えてみるのがいいでしょう。

たとえば自分が詳しいスポーツとか趣味について、などに置き換えてみましょう。

必要十分を心がける

文章はあまり長すぎると読む側は読む気力をなくしてしまいます。 かといって短すぎると大事なことをきちんと書ききれない場合もあります。

「必要なことは省略せずに書く」ということと 「余計なことはなるべく書かない」ということを両立させなければいけません。

ときおり「必要なことは省略しない」というつもりで、 しかし何が必要なことかわからないので、 取り合えず全部書いておけばいいだろう、 というような感じに見受けられる質問があります。

これはそれほど悪いとは言えませんが、 どう考えても無関係なことは無理に書く必要はないと思います。 もちろん、当初無関係と思っていたことが実は関係してくる場合もありますが、 そういう場合は後から補足しても問題ありません。

正しい日本語を書く

国語のテストではないのだから多少日本語がおかしくてもいいじゃないか、 と思われるかも知れません。 しかし逆の立場でおかしな日本語で書かれたものを読むことを想像すると、 そのストレスが理解できるかと思います。

もちろん100%厳密に、とまでは言いませんが、 普通の日本人が読んで違和感がない、 また誤解の余地がない書き方を心がける必要があります。

言葉が不正確だと書き手の意図とは異なる意味に受け取られることがあります。

そうすると質問の内容そのものに答える前にその意味の説明のためにやり取りをすることになり、 無駄に時間がかかってしまいます。

そうならないためにも、まず最初にきっちり推敲してから質問するようにしましょう。

一歩進んで

あらかじめ自力で調べる

これも大事なことですが、意外とこれができていない人が多いです。

検索サイトでそのものずばりの名前を入れて検索すればすぐ見つかるような情報を質問することは、 無駄以外の何者でもありません。

ある程度自力で調べたうえで、 何をどういう方法で調べたけれどもこういうところがわからなかった、 というふうに質問すれば、適切なアドバイスが返ってくる可能性がぐっと高まります。

用語や文言などを自己流に変えない

これもよく見られますが、 みんなが共通して使っている用語はなるべく正しい用語を覚えるよう、 普段からの心がけが必要です。

またメッセージの文言などを適当に意訳して 「〜みたいなことを言われました」などとするのも間違いの元です。

というのも、自分の解釈と正しい解釈が常に一致しているとは限らないわけです。

たとえばWindowsでときどき見られる「このプログラムは不正な処理をしたので〜」というメッセージでも、 ある程度詳しい知識をもった人でなければ「何がどう不正なのか」は知らないと思います。 これを「不正=悪い」というような意訳をして「悪いことをした」というような言い方に変えてしまうと、 回答する側はどのメッセージのことを指しているのかすぐにはわからないでしょう。

また、用語には自分の知らないものもありますから、 あることを表す用語を自分流に言い換えてしまうと、 他の知らない用語と一致している場合などもあります。 そうなるとその他のことをさして言っているのだと理解されてしまうでしょう。

たとえばディスプレイのことを「画面」と言ったり「表示」 と言ったりすると別のものを指す意味になります。

思い込みを避ける

何か問題があって対処法を質問するときに、 質問する側が「これが原因なのにこうしても正常に戻らない」 などと質問しているケースをときどき見かけます。

これもまずい質問の一種です。

原因がなんであるかは、 対処法がわからない質問者に断言できることではないわけです。

はっきりとした証拠がある場合は別にして、 他にも考えられることはないか、常に視野を広く持っていなければ、 大事なことを見落とすことになります。

また「自分は何もしていないのに」という言い方もよくありますが、 これも同じ問題です。

基本的にコンピュータは人間と違って気まぐれを起こしたり予測不能な動作をすることはありません。 人間がプログラムや入力装置を使って指示したとおりに動作するだけです。

気まぐれや予測不能に見えることがあるのは、 たとえば乱数などを使って擬似的にそういうふうに見せているだけで、 実際には入力情報を計算処理しているという実態には変わりはありません。 ですから何もしていないのに何かが起きるということは通常はありません。

人間はコンピュータと違って自分のしようとしたこととは違うことをしてしまったり、 自分が何をしたか忘れてしまったりします。 「うっかり」というのが人間にはあります。

ですから何かおかしいというとき、コンピュータがおかしいと思うより前に、 まず自分が何かおかしいことをしていないか、よく考えることが大事です。

そうしなければ問題の原因を正しく把握することが困難になり、 ひいては対処法を導きだすことができなくなります。

迅速を期待しない

これもありがちなのですが、最初の質問があまり上手ではなかった場合、 回答する側が質問の中でわかりにくい部分をもっとわかりやすく説明するよう求めたり、 書かれていない情報を書くよう求められたり、用語を確認されたり、 というようなことがあります。

そういうときに過度にイライラしてはいけません。 別に相手はいじわるをしているわけではないのです。 心から親切に答えてあげたいと思っていればこそ、 正しく答えることができるようにしたいだけなのです。

つまりそういう反応がくるということは、 自分の質問の仕方にまずいところがあったということです。 だから当然、相手を責めたりすることはできません。 責めてしまうと「逆ギレ」ということになります。

また掲示板などでは、 そのサイトを見てくれる人がどのくらいいるのかなどによって、 質問しても数日レスがない場合などもあります。 そういうときに「無視された」と思ってはいけません。

人それぞれに都合があり、またわかることもわからないこともあるのですから、 質問を書き込んだら常にすぐレスが返ってくるという保証はどこにもありませんし、 それを期待するのは完全な思い違いです。 だれもがそのサイトを一日24時間張り付いて見ているわけでもないですし、 だれもがどんな質問にでもすぐ答えようというつもりでいるわけでもありません。

あたりまえのことを書いているようですが、 しかしほんとうにこういうことで逆ギレする人が実際に存在します。

「初心者です」は逆効果

これもよく見かけるのですが「何もわからない初心者です」 とか「初心者なので難しいことはわかりません。簡単な言葉で教えてください」 などと書くのは実はあまり意味がないばかりか、かえって逆効果になる場合があります。

もちろん、何がなんだかさっぱりわからない、 説明してもらっても理解できるかどうか自信がない、 専門用語を並べられたらどうしよう、という不安な気持ちは理解できます。

しかし質問をするということの目的は、 より効果的な回答をもらって自分の抱える問題を解決することです。 自分の気持ちを表現したり他人に伝えることではありません。

読書感想文とか手紙ではないのですから、 「不安です」ということを伝えられても受け取る側にしてみれば 「余計なこと」になります。

また、考えようによっては教える側の技量を最初から疑問視している、 信頼していない、というふうにも受け取れるので、印象があまりよくありません。

一般的に何かに通じた人、熟練した人というのは、 かつて自分がそれを始めたころのこともよく覚えており、 どのレベルの人がどういうところでつまずくか、 ということはだいたいわかるものです。

たとえば「アイコン」という言葉の意味を知らない人が、 自分でプログラムを作れるほどの人だとはだれも思わないでしょう。

それから「とても初歩的なことで申し訳ありませんが」 と書いている人もいますが、これもあまり意味がありません。 質問というのは初歩的なものから高度なものまでさまざまあってあたりまえで、 いちいちAさんの質問は初歩的だ、といって気を悪くする人はいません。

これはおそらく、自分の知らないことを知っている人に対する一種の恐れというか、 馬鹿にされたり「こんなこともわからないのか」 と言われることを恐れているのではないかと推測できます。

ただ気をつけなければならないのは、 「あらかじめ自力で調べる」の項で書いたように、 少し調べれば簡単にわかるようなことを聞けば、 「そのくらい調べられるでしょ」という反応が返ってくることはあります。

しかしこれは内容が初歩的だからではなく、 自分で調べるという姿勢が欠けていることに対する反応なので、 誤解してはいけません。

つまり高度な質問であっても調べればわかるようなことなら冷たい反応をされることもありますし、 初歩的な質問であっても調べにくい内容なら普通に回答してもらえることもあります。

チェック

最後に、あなたが何か質問をしようとしているときにチェックすべき点を挙げます。

質問を書き終えた後に読み直してチェックするときに参考にしてください。

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